帰宅部の全国大会でエースの俺が準優勝になった話

絶対に負けられない戦いがそこにはある

/この話はフィクションです。

やあ、陰キャ研究所の伊藤だ。

突然だがこの記事で初めてカミングアウトすることがある。

実は俺、高校生の頃は帰宅部出身だったんだ。

世の中には

「遊びたいから」とか

「バイトをしたいから」などといったゴミのような理由で帰宅部に入部している学生も多いが、

俺にとっての帰宅部というのは青春そのものであり数々の熱いドラマを生み出した晴れ舞台だったんだ。

まぁ結果的にはインターハイは準優勝で幕を閉じたんだけどな。

伊藤
伊藤
それじゃあ、まず俺が帰宅部に入部した経緯について話をしていこうかと思う。

帰宅部に入部した経緯

入りたい部活がねぇ

俺が 高校生になって初めて感じた感想がそれだった。

中学の頃は高校生になったら

「何部に入ろうかな?」などと心ときめかせていたものだが、いざ高校生になってみるとどれもパッとしない。

サッカー部

確かにイメージは良くて入部するだけでスクールカーストが上がりモテそうだが、俺はボールを蹴っても3メートルしか進まないから却下だ。

野球部

あんな小さくて固い球が自分に向かって飛んでくるなんて怖すぎて目をつぶってしまうから却下だ。

バスケ部

身長が160しかねぇから却下だ。(事実)

文化部

そもそも家に帰った方が楽しいことが多いから却下だ。

その他いろんな部活を見てきたが、どれもこれも俺には似合わないものばかりだ。

と言うか俺は極度の人見知り。

部活の勧誘に来た先輩たちに目を合わせることもできねぇ。

できる選択というのは帰宅部に入部するということだけだった。

担任の先公から

「なるべく部活を入れよ」などということを聞いたが関係ねえ。

「俺には帰る家がある。」

帰宅部のエースに任命された

帰宅部に入部してから1週間経った。

俺はこの部活でこの高校生活を謳歌することに決めた。

消去法で決めた部活の割には、意外と精力的に活動を続け、なんと言うか自分に自信みたいなものが湧いてきた気がする。

俺の帰宅部での活動の内容を具体的に説明すると

  • 下校途中に古本屋に寄って立ち読みをする。
  • 下校途中にファミマでファミチキを食う。
  • 即効お家に帰ってゲームをする。

こんな感じだ。

そしてある日、同じ学科の先輩である帰宅部のAさんが俺に話しかけてきた。

もちろん俺は人見知りだから目は合わられず、うまくあいづちだけ打って場を繋いだ。

先輩が話してきた内容は概ね以下の通り。

  • 君ほど帰宅部に適した人間はいない。
  • 年下だけど尊敬に値する。
  • 良ければ帰宅部のエースにならないか?

俺は年上に話しかけられているというめったにない事態に、極度の緊張で完全にイエスマンと成り果てていた。

なんやかんやで事が進み、なんとその高校で史上初の1年で帰宅部のエースを任命される事となった。

全国大会に出場

帰宅部のエースに任命されてからというもの、俺には責任感というものが重くのしかかった。

今までは適当に帰宅部の活動を続けていただけだったが、エースになってしまった以上、これまでよりもさらに努力をする必要が出てくる。

意外とタフな俺は、なんと毎日のように帰宅部の活動を続けた。

塵も積もれば山となる。

夏が来る頃にはすでに他の追随を許さないほどの、立派な帰宅部の選手として名を挙げていた。

そして8月に控えた帰宅部の全国大会に出場するという目標に向かって全力で活動に勤しんだ。

帰宅部の全国大会では、 8超人の審査員が独断でポイントを決め、上位の選手がそれに応じて表彰される仕組みだが、 全国で出場者は先輩の A さんと俺しかいない。

つまり自動的に全国大会へ出場することが可能になるということだ。

念願の全国大会出場が決定した時、俺は喜びに震えた。

初めて自分の努力が報われた…そんな気がしたんだ。

帰宅部全国大会で準優勝

いよいよ帰宅部全国大会の当日、俺は授業中にどうやって審査員のポイントをむしり取るか塾考していた。

ポイントは審査員の独断で決まってしまうため、対策をするのはめちゃくちゃ難しいが、近年のデータを見ると以下のような考察ができる。

全国大会で優勝できる人間は主に、

  • スピード
  • 耐久力
  • 距離
  • 独創性
  • 表現力
  • スタイル

などのスキルを兼ね備えていることが多い。

要は自分にしかできない帰宅をしたやつが有利だって話だ。

俺は今更悪あがきをしても通用しないと察し、今まで通りチャリに乗って立ち漕ぎで古本屋とファミマに寄るルートを選択した。

これまで培った自分の帰宅部のスキルを信じて….

先輩は全裸で電車に乗って帰宅した。

捕まった。

インターハイを終えて

結局俺はインターハイで先輩のAさんには勝てなかった。

結果は【 8兆 】で完封負け。

シンプルに実力で先輩には叶わなかったんだろう。

帰宅部のエースとまで言われたこの俺が、全国大会という晴れ舞台でここまで大差で負けてしまうなんて誰も予想していなかったが、俺はなんとなく気づいていたんだ。

本当の帰宅部のエースは先輩はAさんなんだと…

ちなみに先輩は25回進級に失敗しており、今年で42歳になる。

ムショでは「帰宅させろ」と何度も叫び、 窓の明かりもない懲罰房に送られたらしい。

勝負には負けたが、人間性という部分では俺も勝っていたのだと思う。

しかし今更負け惜しみをしない。

あの時俺が帰宅部に入っていなかったらこんなに悔しい思いをせずとも済んだんだろうが、紛れもなく帰宅部というのは俺にとっての青春であり、忘れられない思い出だ。

そしてまだ終わりじゃない。

この時の俺は高校1年、来年も再来年も全国大会に出場できるように今から練習を積まなければいけない。

今年の悔しさをバネに、来年こそはインターハイで結果を残せるように帰宅部の活動に専念しようと誓った。

最後にこの場を借りて、一言だけいいかな?

「先輩、 俺強くなったっすよ。」

あとがき

こういった熱い少年たちのドラマを書くのは初めてで難しかったですが、書いていて自分でも感動出来るくらい良作に仕上がったと思ってます。

ちなみにこの話はフィクションですが、下の記事ではノンフィクションの僕の部活を辞めた経験を話しているのでよろしければご覧になって見て下さい。

マジメ系な記事ですが…↓

【高校1年で部活を辞めたい!】切り出し方は?内申書に響く?

以上、陰キャ研究所でした。

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